■The PARTY
(いま何時?時間の感覚がつかめない……)
ノノはホテルの壁にかけられた時計をみて、改めて夕方であることに気がついた。
(そうだ、今日はクリスマスイブ……17歳の誕生日だったんだ……)
元コーチの火野に犯され、汚され、卑しめられたあの日から2年の月日が流れたが
状況は何も変わっていなかったことをノノは痛感していた。
火野に脅され、半ば強引にラブホテルに連れ込まれたのは昼前だったが、
部屋に入るなり<出所祝い>と称して、火野はノノをむさぼる様に犯した。
麻縄で縛られ、犬のように首輪をつながれて交わるさまは、まるで犬の交尾のようだった。
ノノは避妊を懇願したが、火野はラブホテル備え付けのコンドームを一切使おうとせず
2年分の鬱憤と欲情をノノの体内に何度も放出していた。
ノノが火野との性行為を余儀なくされているのは、<野々宮悠太>の正体が<野々宮ノノ>
という少女であるという事実を知っていることと、ノノに掘り込んだ刺青を除去することを
火野が約束しているということが大きい。
特に身体に刻まれた刺青を消さないと、ノノの将来は無いも同然だった。
ノノは、火野の求めるままに身体を許さざるを得なかったが、ことあるごとに火野に
刺青の処理を懇請していた。
「もう許して……約束どおり刺青を消してください。お願いします……」
「約束?あぁ、中和液のことか?まだ夕方だぜ。朝までには消してやるよ」
何か含みのあるような不気味な笑顔を見せる火野にノノは不安を感じたが、今は火野の
言うとおりにするしかなかった。
「ふぅ、出た出た。お前も久しぶりのハメ撮り楽しいだろ?」
火野の言葉通り、ベッドの周囲には火野が持ち込んだ3台のカメラが設置されていた。
刑務所での2年間、火野は妄想を募らせ、出所後に準備万端整えてから計画を実行した。
火野が所持するボストンバッグには撮影機器のみならず、性具やSM用具が収められていた。
ベッドの上に散乱する無数のバイブや拘束具がノノに悲鳴や嬌声、哀願をもたらした。
「二年間もご無沙汰だっただけあって、オモチャも随分悦んでくれるな。みろよこのバイブ」
火野はノノの秘唇に埋没し、蠢いている漆黒のバイブを引き抜き、ノノに見せ付ける。
見たくも無いものだったが、黒いバイブはノノが分泌した蜜液で濡れ、妖しく滑り光っていた。
火野の言葉通り、ノノの身体は正直に反応していた。特に火野のねちっこい愛撫や
執拗なディープキスに疼きを抑えることができなかった。
「さて、マンコに種付けは一旦終わりにして、今度はケツマンコで遊ぶか」
ボストンバッグから浣腸器やアナルプラグを取り出す火野を見て、ノノは青ざめた。
「ひっ……浣腸はいや。お尻は許してください」
「今日のためにグリセリンも用意したんだ。2年ぶりの腸内洗浄だ。たっぷりヒリ出せよ」
火野が取り出したのは、巨大なビン入りのグリセリン溶液だった。
「手始めに1000ccほど入れてやるよ。15分我慢できたら許してやる」
浣腸の恐ろしさをノノは2年前の夜に味わっている。15分の我慢がどれほどの苦痛
をもたらすかは想像できた。
「む、無理です……そんなにたくさんは」
ノノの哀願は無視され、火野は浣腸器に満たしたグリセリンを容赦なく注入していく。
「あ、あ、あぁぁっ」
冷たい浣腸液が腸内に注がれる感覚に、ノノは悲鳴を上げる。
「野々宮の気が散らないように、目隠しをしてやろう」
火野はそう言うと、アイマスクをノノに装着し視界を奪った。
目隠しされたことで、ノノは壁にかけられた時計を見ることができなくなり、またもや
火野の思うがままに排泄をコントロールされてしまった。
■BLIND GAME
「いやっ、目隠しは……」
「遠慮すんなって。これもスキージャンパーとしてのメンタルトレーニングだ」
元コーチとしての台詞のつもりなのか、火野は意味不明なことをいいながら
さらなる責め苦をノノに施そうとしていた。
「マンコのほうも綺麗にしてやろう」
轣?野はチューブ入りのクリームを指にすくって、柔襞にまぶしはじめた。
「なに?ひぃっ…やめて」
目が見えない状態で、陰部にクリームを塗りこめられる恐怖でノノは悲鳴をあげた。
「気にするな。ちょっと痒いかもしれんが、これも訓練だ」
火野が塗布したものは、催淫クリームの一種で、粘膜に猛烈な掻痒感をもたらすものだった。
その効果はすぐに現れ、ノノは膣内を襲うむず痒さに腰をくねらせ始めた。
「ひ、火野さん……あ、アソコが痒いんです。止めてください」
「我慢しろ。まだ5分しか経ってないぞ」
この時点で、時計の針はすでに10分を経過していたが、盲目状態のノノは火野の言葉を
信じるしかなかった。
「も、もう無理です。もう出そうなんです!」
「しょうがないな、やっぱりお前には栓が必要なんだな」
火野はアナルプラグを手に取ると、たっぷりと催淫クリームをまぶした上で
ノノのアヌスへと押し込んでしまった。
「ひぃっ!!栓はやめてぇっ。いやぁっ」
「さぁ、頑張って我慢しろ。忍耐こそがジャンパーの要だぞ」
ノノを思い通りにいたぶる快感に酔いしれる火野にとって、少女の悲鳴は甘露だった。
掻痒剤を塗り込めたバルーン式のアナルプラグを装着させられてしまったノノは
もはや火野の玩具と化していた。
浣腸を施してから、すでに20分近くが経過している。約束の時間から5分以上オーバー
しているが、それを告げずにノノが苦しむ様子を火野は楽しんでいた。
「ひ、いぃぃっ。かゆいんです。もう…もうゆるしてぇっ!!」
前後の穴に塗りこめられた掻痒クリームの効果で、ノノの懊悩と快感は頂点に達していた。
その上に、腸内を暴れるグリセリン剤がノノの交感神経を刺激し続けている。
胡坐縛りで転がされたノノの腰振りダンスは、ノノのむず痒さを表すバロメーターの
ようだった。極限まで腰を上下左右に揺さぶって表現しているノノの苦しみと快感をみて
火野は2年の獄中生活を忘れて狂喜していた。
「野々宮。もう少しだけ我慢する気があるなら刺青を処理してやってもいいぞ」
「えっ?」
火野の思わぬ申し出に、ノノは驚いたが、浣腸の苦しさとクリームの痒さも限界だった。
「さ、先にトイレに行かせて……」
「じゃあ、しばらく刺青はそのままだな。それでもいいのか?」
ノノの身体に彫られている刺青は2年前のものだが、火野が言う<しばらく>が
また2年後にならないとも限らない。火野の申し出を断るのは危険だった。
「そんな……わ、わかりました。我慢します。でも早くお願い……します」
浣腸の苦しみに悩んだ末だったが、ノノは刺青を消したい一心でそう答えた。
■THE TATOO
「フフフ。じゃあケツの刺青からやってやるよ」
(こいつ、マジでこれが消せると思っているようだな……馬鹿な娘だ)
口を一文字に結んで、恐怖と痒みに堪えているノノをみて、火野は内心でせせら笑った。
火野は<中和液>ではなく、タトゥーマシンにピンク色の色素瓶をセットした。
<中和液>を使わないのには訳があった。
火野が二年前にノノに施したタトゥーは、ごく普通の刺青であり、色素を中和する
ことなど最初からできないモノだったのだ。つまり、<中和液>は無いのだ。
二年前にノノに遺したビデオメッセージは、ノノを手中に収めておくための手段であり
<中和液>などという代物は、あの時点で考えたハッタリであった。
このままマシンを使ってノノの肌に触れれば、ピンクの刺青が新たに彫られることになる。
だが、目をふさがれたノノは、何をされてもわからない状態で火野のなすがままだった。
「チクチクするが、あんまり動くなよ。痒いのとクソを我慢すれば消えるんだからな」
「は、はい……お、おねがいしま……ひぃっ」
火野はノノの<牝犬>と彫られた尻たぶに、さらにピンクの色素で紋様を追加していく。
(女の肌を刻む気分は最高だな。今回は……そうだな、ハートでもいれてやるか……)
<牝><犬>の文字の周囲に、ショッキングピンクのハートの線画を追加していくのは
火野にとって至上の快感だった。
「ひっ、いっ…うぅぅ」
(フフフ、こいつ必死で我慢してるな。いい感じに彫りあがってきたぜ)
ノノは目隠しをされている上に、前回彫られたときは意識が無かったので、火野が
刺青を追加している事実を知覚することはできなかった。
ノノが思うのは、とにかく早く終わって欲しい。2年前の白い肌を取り戻したい。
その一心だった。
「ケツは終わったぞ。次は腹だな」
胡坐縛りのノノをベッドで仰向きに転がすと、下腹部に彫られた<中古>の文字が
目に入ってきた。
(さて、こっちはどうするか……)
やや悩んだあとで、火野はマシンに黒の色素をセットすると、<中古>の文字の下に
新たに文字を追加していく。
「あぅっ…」
下腹部に刺青針が刺される感覚で、ノノは呻いたが、やはり拒絶するわけでなく
じっと我慢して耐えている。
(もうすぐ見せてやるからな。俺の傑作をな……)
■COMING OUT
「終わりだ、野々宮。お前の根性も大したもんだな。綺麗になったぞ」
火野の施術を終えるのを待っていたノノは、その言葉を聞いて、堰を切ったように
懇願を始めた。
「お願いします。もう我慢できません。お腹が痛いんです」
ガクガクと身体を震わせて悶絶する哀れな少女の姿態は、普段の野々宮”悠太”からは
想像できない。
「フフフ。よく我慢したな。グリセリンをケツ穴に入れてから30分ちかく経ってるしな」
「すぐにトイレに連れて行ってやろう」
このラブホテルの部屋のバスルームは、壁や天井まで全面ミラー仕上げになっていた。
火野は撮影のため、バスルームにカメラも三脚ごと運びこんだ。
鏡に映った姿も録画できて好都合なバスルームだった。
火野はノノを胡坐縛りのまま抱え上げると、バスルームに運び込んだ。
「うぅっ、もうダメっ。早くお尻のモノを抜いてください」
目隠しをされているノノは、トイレに運ばれたと思って、火野への哀願を強めていた。
「その前に、目隠しをとってやろう」
「あっ……」
唐突に目隠しを取られたノノは、蛍光灯のまぶしさに目が眩んでしまった。
明るさに目が慣れたときに、ノノの視界に入ったのは、鏡に映った自分の裸身だった。
麻縄のロープで縛られ、バスルームのタイルに転がされている姿は惨めで残酷だったが
それ以上に、ノノに衝撃を与えたのは、下腹部の状態だった。
「え?えっ?なにが……」
火野が『消す』と宣言していた2年前に彫られた<中古>という下腹部の刺青文字が
そのまま残っているのだ。
いや、それだけではない。<中古>の文字の下部…ちょうど陰毛の上部ぐらいの位置に
<肉便器>という大きい文字が追加されていた。
「にく……べんき……」
あまりの出来事に無意識に口走ったノノは、鏡に映った火野の邪悪な笑顔を見て
初めて事態を把握できた。
「うそ……消してない……それに、また刺青をいれたの?いやぁぁぁっ!!」
「フフフ。最高の出来だろ?お前は単なる中古女じゃなくて肉便器なんだよ
そこら辺をはっきりさせておこうと思ってな。それにケツのほうも見ろよ」
火野はノノの身体を持ち上げ、ノノの臀部が鏡に映るようにした。
そこにあったのは<牝犬>という刺青の周囲に彫られたハートマークである。
ノノが必死で浣腸と掻痒クリームの苦しみに堪えたのは、刺青を消すという火野の
約束を信じたからだったが、その結果得られたのは、無残に追加された<肉便器>と
いう刺青文字と、鮮やかなピンク色のハートの刺青紋様だったのだ。
「約束が……約束がちがいます!中和液で消すって……」
「あぁん?中和液だって?」
猛烈な抗議をするノノをいなすように、火野はとぼけた口調で返答をはじめた。
「お前、2年前のあのハメ撮りビデオのことを言ってるのか?」
「………」
「あんなの嘘に決まってるだろ。刺青に中和もくそもあるかよ。あれは俺の
創作だって。デタラメ。ハッタリ。お前本当に信じてたんだな。ハハハ」
嘲笑する火野を見て、ノノはようやく火野の本性を思い出した。
「そんな……じゃあ、この刺青は……」
「もう一生消えねえよ。お前の肌は俺だけのモノだ。誰にも見せねえし触れさせねぇ」
腸内を荒れ狂う浣腸液や、前後の穴で猛威を振るう痒さも忘れてノノは呆然とした。
「嘘でしょ……ねぇ……冗談でしょ……」
「野々宮。お前のその顔が見たかったんだよ。2年間我慢した甲斐があったぜ」
2年前に仕掛けた嘘をノノに暴露した火野は、征服感に酔っていた。
「タトゥー鑑賞もいいが、そろそろケツの栓を抜くぞ。盛大にヒリだしてみせろ」
火野がアナル栓を緩めることで、呆けるノノは現実世界に引き戻された。
直腸を塞いでいた、バルーンプラグから空気が抜ける音がバスルームに響く。
「あっあっ…ひっひぃっ!!」
大量の排泄物を放出するときの開放感と快感が、嬌声となって現れる。
ハートの刺青を追加されたノノの桃尻から、茶褐色の濁流が噴流となって
バスルームのタイルを染め上げていく。
「肉便器からクソが出てくるとはな。傑作だぜ」
火野の嘲笑がバスルームに響き渡り、ノノの悲鳴とハーモニーを奏でた。
■HOLY NIGHT
「やっぱりお前のクソは臭いな。便秘はスポーツ選手の敵だぞ。ハハハ」
火野はノノが噴出した大量の下痢便を揶揄しながら、この2年間の集大成として
最後の仕上げに取り掛かることにした。
「じっとしてろよ。クリスマスプレゼントをくれてやるからな」
ノノに対して、火野はタトゥーマシンを見せつけた。
排泄の快感と、刺青のショックで、どこか精神のタガがはずれたノノは
少し呆けていたが、お構いなしに火野はノノの純白の乳房にマシンの先端をあてがった。
「お前の名前を銘記しておくからな。いくぜ……ヒ・ノ・ノ・ノ……っと」
野々宮ノノの右の乳房には<ヒノ>、左の乳房には<ノノ>という刺青の銘が
入れられていく。
<中古><肉便器><牝犬><ヒノノノ>。無数の刺青を入れられた少女を
バスルームに設置されたカメラが静かに記録している。
この映像が、後に世間を賑わすことになるのだが、今のノノには知る由もなかった。
「今日から野々宮悠太でも野々宮ノノでもない。お前は<ヒノノノ>だ」
「ヒノノノ………」
満足げな火野の笑顔と、生気の消えた目で自分の姿が写った鏡を見つめるノノ。
中古肉便器・ヒノノノの新たな人生の幕が開いた瞬間だった。
「ちょっと元気がなくなったな。それではいかんぞ。今のお前にぴったりな
クスリをやろう。ちょっとハイになれるいいクスリだぞ。フフフ」
意味ありげな笑みを浮かべる火野は、ムショ仲間から手に入れた<クスリ>を
ノノに見せびらかして満悦している。
「朝までパーティーは続くんだからな。いい声で啼いてくれよ」
まだまだ、火野は<パーティー>を終わらせるつもりはないようだった。
人知れずラブホテルの一室で二人きりのクリスマスの夜は続くのだった。
<便女コウロギ>
何の前触れもなく、興梠(こうろぎ)みかげの前から、野々宮悠太が姿を消してから三日が過ぎていた。
「オリンピック代表の練習もあるのに……」
悠太はクリスマスイブの日に、外出してから帰宅していない。
噂では、スキージャンプ練習のつらさや人間関係に疲れて逃亡したなどと、まことしやかに
ささやかれているが、みかげはそんなことは信じていなかった。
みかげ自身もフィギュアスケートの練習を日々行っており、練習のつらさは知っているつもり
だが、悠太がそんなことで逃げ出すとは到底思えない。
「きっと、なにかあったんだ。悠太の身に」
そんなみかげの心配をよそに、野々宮悠太からは電話はおろか、メールの一本もない。
明日になったら、警察に相談しよう。そう決意した少女が寝室で眠りについたのは深夜1時を過ぎてからであった。
「んっ!んっ!!んんぅっ!!」
興梠みかげは奇妙な声と、ギシギシと軋むような音を耳にして目覚めた。
首筋に残るしびれ、手首と足首に感じる鈍い痛み…いったい何が自分の身に起こったのかを理解するまでに数秒を要した。
寝室の床に転がっている黒い物体――スタンガンはみかげが護身用に持っているものと同じタイプだ。
これを首筋に当てられ、電撃を浴びせられたと悟った興梠みかげが、あらためて周囲を見回して得たのは奇妙な光景だった。
目の前には、ついさっきまで自分が横になっていたベッドがあった。
そのベッドの上でもつれ合う二人の人影がみかげの目に入った。
見えるのは毛深い男性の背中と尻、そしてその男の下敷きになって太股を開いている女の下半身だけだった。
激しく交わる男の腰の動きにあわせて、粘膜が触れ合う淫らな音とリズムを刻んで軋むベッドの音が寝室に響いている。
否が応でも、みかげの目に映るのは男女の結合部であり、そこからは女の身体から分泌される液体が溢れ出している。
その淫らな液体によって、みかげのベッドの清潔なシーツには染みができていた。
「ちょ、ちょっとあんた達なにしてるのよ」
思わず声を出した後で、みかげは自分の身体が椅子に縛り付けられている事に気づいた。
それも、一糸纏わぬ姿で大きく両脚を開いた体勢で無防備な股間をさらした状態だった。
「え?なんで裸……きゃ、きゃあっ!!」
悲鳴に気付いた男が振り返ったとき、その顔を見たみかげは絶句した。
「ひ、火野?なんでここに」
「おう、気付いたか?銀盤の妖精さんよ」
ベッドの上で振り返った男の正体をみかげは知っていた。
その正体とは、2年前に同級生のスキー部員の岸谷を刺し、傷害罪で逮捕され懲役判決を受けた青鹿学園の元コーチだった。
「ちょ、ちょっと今すぐ解いて出ていきなさい!!」
縛られてなお強気の興梠に、火野はにやりと笑みを浮かべ、一言つぶやいた。
「まぁ、一発抜くまでまてよ。なぁ、<ノノ>もイキたいよな?」
火野が囁きかける相手の顔は、みかげからは見えない。
<ノノ>という名前の女も初耳だった。
「むぅぅぅっ!!」
火野の下敷きになって犯されているノノという女は、どうやら口になにかを詰められているようだ。
いや、それだけでなく、手足を縛られているように見える。この女は火野に辱められているのだ。
「ちょっと!!はやくやめなさい!!」
みかげが強い口調で反論しても、火野は意に介していないようだった。
いやそればかりか、火野は女の足を持ち上げ、尻たぶを揉みしだき、腰を振り続ける。
その女の白い尻たぶを見たみかげは、そこに奇妙な紋様があることに気付いた。
「めす・いぬ?」
向かって左側の尻に<牝>、右側に<犬>という字が刻まれ、それを囲むように歪んだ形の
ハートマークが描かれている。
「お、気づいたか?これは俺が彫ってやったんだ。なかなかいい刺青だろ?」
「う…うぅぅっ」
火野の言葉が真実ならば、この女は刺青を入れられたということだろうか。
にわかには信じがたい話だが、火野の言葉を聞いて、ノノという女の泣き声が大きくなったところ
をみると、おそらく事実――それも女の意思に反して彫られたものに違いない。
「この家が完全防音されてるは知ってるぜ」
火野は得意げに語りながら、腰の律動を速めていく。
「ど、どうして知ってるのよ。それにどうやって家に入って……」
「それに大声をだしたら、お前の知り合いのこの女が痛い目にあう」
火野の言葉では、この火野に犯されている女が、みかげの知り合いだとというが、<ノノ>という
名前の女は知らないし、なにより尻に刺青を入れた人物など知り合いとは思えない。
「ノノなんていう女は知らないわよ!!やめなさいって」
みかげの声を聞いてか聞かずか、火野は腰を深く突き入れ、痙攣するような小刻みな動きをした後に
腰のピストン運動を止めた。
「ふぅ…よかったぜノノ。お前も中に出されるほうがいいんだよな?」
火野が女からゆっくりと分身を抜くと、白く粘り気のある液体が女の秘部から溢れ出た。
みかげのベッドのシーツを汚した粘液が、男の精液である事に気づいたみかげは、この時はじめて避妊を
せずに火野が女を辱めていたことを悟った。
だが、それよりもみかげを驚嘆させたのは、<ノノ>の正体だった。
火野がベッドから下りたときに、みかげが目にしたのは猿轡で唇を塞がれた<少女>の姿だった。
「ゆ、悠太?!」
「うぅぅっ!うぅ……」
その顔は間違いなく、みかげの知る<野々宮悠太>本人のものだった。
だが、悠太の涙に濡れた顔から下――白い身体は明らかに女性の身体の特徴を有している。
美しい曲線を抱くバストは、みかげの乳房よりも大きいかもしれない。
その乳房には、大きな文字が描かれている。<ヒノ・ノノ>と大きく刻まれた手書きの文字。
乳房を彩る特徴的な色使いは、これもやはり刺青のように見える。
さらに、ひきしまったウエスト――へその下にも<中古・肉便器>などという汚らしい文字が
刻まれているのが見える。
みかげから顔をそらして視線をあわそうとしない悠太――ノノの目元からは涙が、そして口元からは涎がこぼれ落ちる。
「フフフ、どうだ三日ぶりの感動のご対面は」
「お、女の子?悠太が?」
興梠みかげの口から出たのは、驚きと疑いに満ちた言葉だった。
それもそのはず、みかげが知る野々宮悠太は、男性しかエントリーできないスキージャンプの選手なのだ。
女性のはずがない、いやそれ以前に2年間の同居生活で気付かなかったとは思えない。
だが、よくよく思い返せば、悠太が決してプールや海に行かなかったこと、そして時折見せる
女の子らしい仕草――中性的だと思っていた声。
「やっぱり気づいてなかったんだな?野々宮悠太の正体は野々宮ノノっていう女ってことに」
「む、ぐうぅぅぅっ!!」
<野々宮ノノ>が猿轡で塞がれた口から絶叫で応える。
「ヘヘヘ、いまや<野々宮悠太>は、野々宮ノノ……いや火野ノノとして生まれ変わったんだぜ」
「信じられない…」
身体じゅうの至る所に手書きの刺青を刻まれた少女が<悠太>という事実にみかげは混乱していた。
それもたった今、みかげのベッドの上で胎内に火野の子種を注がれた直後である。
その火野がゆっくりと椅子に拘束されたみかげに近づく。
「今度は、あんたの番だぜ。<悠太>くんに初体験シーンを見せてやろうぜ」
「い、いやぁっ!!」
「ぐうぅぅっ!!」
少女ふたりの絶叫のハーモーニーは防音壁に阻まれ、冬の夜空に届くことはなかった。
「うぅぅぅっ!!」
「やめて、興梠さんは許してあげて!!」
二人の少女達の悲鳴が逆転した。
火野の手によって、ノノの猿轡が取り去られ、そのノノの唾液まみれの猿轡が
興梠みかげの口に取り付けられていた。
恐怖と怒りに震えるみかげは、椅子に縛り付けられたまま火野に乳房を揉まれている。
「ノノよりは小ぶりだが、いい乳してるな。興梠おまえ男を知らないんだろ?」
「うぅっ!!」
乳首を強くつままれて悲鳴をあげる少女を見て、火野は悦に浸っている。
「私が、ノノが代わりになりますから……興梠さんはもうすぐ大会があるんです」
「ほうそうか…じゃあノノ。お前がコイツを舌でいかせてみろ。そうすればゴムは付けてやろう」
そう言って、自らのペニスを指で包みこむような動作をする火野。
「本当ですか…本当に避妊をしてもらえるんですか」
「あぁ、処女はどうあってもいただく。俺がゴムを使うかどうかは、ノノ。お前のがんばり次第だな」
ノノは火野の<約束>がどのようなものかを充分知っていた。
だが、今この瞬間は興梠みかげを救うためには、たとえ裏があろうとも、この男を満足させるしかなかった。
「ごめんね。興梠……でも、これしかないんだ」
後ろ手に縛られたままの体勢のノノは、大きくM字に開かれた興梠みかげの股間に顔を埋め、そっと舌を
突き出し少女の媚肉を舐めはじめた。
「ぐっ!!うぅぅっ」
ノノの舌戯は稚拙なものだったが、敏感な部分を野々宮<悠太>に舐められているという意識が、興梠みかげ
を徐々に性的な興奮へと導いていく。
「クリトリスを責めろよ。そうだ、ノノにもご褒美をくれてやるからな」
火野が手にしたのは、みかげの寝室に置いてあった飴玉の袋だった。
「ほら、食え」
次々と飴を袋から取り出して、ノノのアヌスへと埋め込んでいく。
「ひっ!や、やめて…一生懸命舐めますから」
「遠慮すんな。早くいかせてみろ。そうすればやめてやるよ」
ノノの悲鳴は火野を止めることができない。むしろ男の嗜虐心という火に油を注ぐだけだった。
「お、全部入ったぞ。どうだ、腹いっぱいになったか?」
文字通り、直腸の中いっぱいに一袋分の飴玉を詰め込められたノノは、涙を流しながら頷く。
「フフフ、この三日間でフェラを仕込み直したかいがあったな。みろよコイツ乳首が立ってきたぜ」
火野の言葉通り、椅子に縛られ自由を奪われた少女はノノの舌戯によって顔を硬直させ、息も荒くなっていた。
薄桃色の乳首を火野に舐め回されると、身体をのけぞらしてうめき声を上げる。
股間の湿り気も、ノノの唾液だけではないものが混ざっている。
「よし、ノノもういいぞ。親友の初体験をじっくり見てやれ」
ノノの身体を押しのけて、寝室の床に転がすと、火野はゆっくりと椅子に拘束されたみかげの上にのしかかっていく。
「約束が!!せめて避妊を……おねがい!!」
ノノの絶叫を聞いた火野はゆっくりと振り返り、つぶやいた。
「おっと、そうだなゴムをする約束だったな……」
すでに、天を衝く形で硬直している己の分身に、火野は手首に巻いていた輪ゴムを通した。
男根の根元に通された輪ゴムが、一体どういう意味かをノノは理解できなかった。
「ちょっとキツイな。ハハハ」
笑う火野には、これ以上の避妊処置をする気はないようだ。
「あ、あのコンドームをしてください。精一杯興梠さんのを舐めましたから……」
ノノは火野がそのままみかげの秘部にペニスをあてがうのをみて大声で抗議した。
「ん?コンドームだって?そんな無粋なものはしねぇよ」
「そんな!約束が……」
「おれが約束をしたのは<ゴム>をしてやるってことだぜ?よーく思い出してみろ」
確かに、この男はゴムをするという言葉とゼスチャーはしめしたが、避妊をするとは名言していない。
「ハハハ、ノノ、前戯ごくろうさん。おかげでいい塩梅で生ハメできるぜ」
下卑な笑みを浮かべてノノを見下ろす火野の魂胆を知ったノノは暗澹たる気分に沈んだ。
やはりこの火野という男に約束は無理なのだ。
「いくぞ、興梠みかげちゃんよ。お前もノノみたいに一人前のオンナにしてやるからな」
必死に首を振り、身体をゆすって逃げようとする少女を火野は物ともせず、あっさりと情欲の塊を
少女の濡れた秘裂へと沈めた。
「ぐぅぅっ!!むっ!!うぐぅぅっ!!」
絶叫を放つ興梠みかげの声が、猿轡を通して部屋に響く。
ノノは、その様子を直腸内に無数に埋め込まれた飴の異物感と共に見守るしかなかった。
みかげの処女地には、輪ゴムを巻いただけの火野の肉竿が深く沈んでいる。
ゆっくりと男が腰を動かすと、その結合部から赤い破瓜の血が垂れて床を汚した。
「フフフ、入ったぞ。いま猿轡をとってやるからな」
「い、痛い!!抜いて、抜いてぇっ!!」
「抜いて欲しいか……ほれ」
そう言って軽く腰を浮かせて亀頭の辺りまでゆっくりとペニスを抜くのだが、すぐさま深く貫いた。
「ぎぃっ!!入れないで!!」
「じゃあ抜くか……また入れるけどな」
火野のペースで完全にもてあそばれる興梠みかげを見て、ノノは2年前の陵辱劇を思い出していた。
もう、こうなってしまっては、火野が果てるまで止まらないことを…
「ほれほれ、キスが上手に出来るなら腰は止めてやるぜ」
「ぐ、ぐむむ……」
強引に唇を奪われ、火野の汚らしい唾液を飲まされる少女の姿から、ノノは目をそらしてむせび泣いた。
「どうして、興梠さんまで……」
舌を絡めて、興梠みかげのファーストキスを汚す火野の腰の動きは止まらない。
艶やかなみかげの髪を鷲掴みにして、唾液の交換を強いている火野は、やはり口約束を守る気はなさそうだった。
むしろ、欲情した男の動きは一段と激しくなっている。
唇を一度離した火野だったが、少女の唇を汚す行為を止める気はなさそうだ。
「下手くそだな、お前。キスぐらいできないと、フィギュアの演技もままならんぞ。このまま出してもいいのか?」
「いやぁっ!!気持ち悪い。どうして…どうして私がこんな男に…え?出すってどういう……」
「出されたくないなら、演技でもなんでもいいから、愛を込めて口づけを交わすんだな」
「ぐっ、むぅぅっ!!」
再びみかげの淡いピンクの唇に舌を差し入れた火野が、<キスに満足>することはないだろう。
いや、満足した瞬間に、少女の胎内に精が放たれることは間違いない。
「興梠さん……許して」
火野がノノの後悔のつぶやきを聞いているのか、いないのかはわからない。
だが、唇を合わせたまま、腰を前後左右に激しく動かし、そのままピークに近づいていることはノノにはわかる。
椅子に腰掛けたままの二人が身体を離すまで、ノノの懺悔は止まることはなかった。
赤い血に混じって、白い粘液が椅子から垂れ落ちるその時まで。
「さぁ、正直に言ったほうがいいぞ。お嬢ちゃん」
「誰があなたなんかに!!」
三人の男女は、居場所を2階の広間に移していた。
普段は興梠みかげとノノが室内トレーニングに使っている仮設トレーニングルームである。
資産家の子女である興梠みかげならではの設備が整っている。
その設備の一つ、天井にかけられた機器固定用のフックに興梠みかげはロープつ使って吊るされていた。
「グハハ、そんな格好で強気に言われても笑うしかねぇぜ」
火野の言葉どおり、みかげは無様な姿をさらしていた。
両手はロープで結ばれ、天井フックから吊るされたロープに結えられてバンザイのように高く掲げられている。
右足はなんとか辛うじてつま先が床につく程度の高さに調整されているため、少女の両手首には全体重がかかっている。
そして、左足はロープを足首に結び付けられ、フィギュア・スケートのターンのポーズのように高く持ち上げた
状態で固定されていた。
片足を高く上げて万歳するような、このポーズでは少女の股間を遮るものはない。
右足の太股を伝って流れる火野の精液と、みかげの純潔の証である赤い血が痛々しい。
「興梠、お前の銀行口座にゃ大金があるんだろ?」
「しらないわよ……」
「どうせキャッシュカードで下ろせる金額なんて知れてるんだから暗証番号ぐらい言ってもいいだろ?」
「だから、あんたには言わない!」
押し問答のように見えるが、火野の一方的な欲望の餌食になったみかげが、安々と教えるはずがないのが道理でもある。
「しょうがない女だ。<火野コーチ様>のやり方を少し見てろ」
その言語を吐いた上、火野が視線を投げかけたのは床に転がされているノノだった。
全裸のまま、足を組んだ状態で座禅転がしのように縛り上げられたノノに近づき、火野はみかげには聞こえないように小さくささやいた。
「いいか、泣き喚くのははかまわんが、もしお前が興梠に話しかけたら、その時点で同じことをあいつにやるからな」
ノノが見たのは、火野が手に握られた巨大な浣腸器だった。
「この中身は、お前の大好きな食用酢とグリセリンのブレンドだ。フフフ、いい声で泣けよ」
「ひっ!!せめてお腹の中のモノを抜いてください…」
さきほど<興梠に話しかけるな>と釘をさした火野の魂胆を、ノノは理解していた。
ノノの身体を虐げ、みかげの同情を誘い、そして火野自身は嗜虐心を満たすというその魂胆を。
だが、これを破って、みかげに忠告や助言を与えれば、彼は容赦なく興梠みかげを拷問にかけるだろう。
ノノにできることは、悲鳴を殺して堪えることぐらいしかなかった。
「ちょっと!!悠太になにをするのよ!!関係ないでしょ」
「関係なんかどうでもいいさ。俺が知りたいのは暗証番号……それだけだ」
「ひっ!!ひぃっ!!」
大量の酢・グリセリン溶液を容赦なくノノの直腸へと注入し悦に入る火野。
腸内に激痛をもたらす溶液に耐え、声を殺してみかげに迷惑をかけまいとするノノ。
予想外の男の行為に呆然とするみかげ。
三者三様の思いが、このトレーニングルームに錯綜していた。
「ほれ、これで2リットル。ノノ、お前よく耐えられるようになったな。これも日頃の俺の訓練のおかげだな」
「うぐ……うぅぅ」
何度も浣腸器で注ぎこまれたノノの腸内は、寝室で挿入された飴玉と、酢・グリセリン溶液で満たされてた。
火野の言う通り、この三日間の陵辱で、何度も浣腸調教は受けてきたが、興梠の目の前で行われる恥辱にノノは顔を赤らめていた。
「どうする、みかげ。言うか?」
「言ったら、彼女をトイレに連れて行ってくれるのよね」
「あぁ、そうだとも。<トイレ>ぐらい手間でもない」
その言語を聞いて、ノノは本当は声に出して言いたかった――ノノのトイレはバケツしか許されていないことを。
だが、ここで興梠に話しかければ、彼女が同じ浣腸の屈辱を受けるだろう。今は堪えるしか無いことがノノには腹立たしかった。
「5050よ……はやくトイレに連れていってあげてよ」
「最初から正直に言えば良かったのにな……お前もそう思うよなノノ?」
「………」
無言で堪えるノノに、火野は笑ってバケツをあてがう。
「ほら、トイレだ。こいつの目の前で思う存分ヒリ出せ。俺はちょっくらATMに行ってくるぜ」
「ちょっと!!約束が違うじゃない!!トイレに連れていきなさいよ」
「トイレだ?コイツのトイレはバケツと決まってるんだよ。じゃあな」
興梠の抗議を受け流して、キャッシュカードをひらひらさせ、捨て台詞を残して火野は部屋を出て行った。
「興梠さん……ゆるして、見ないで……」
我慢の限界にきていたノノは小さくうめき声をあげ、そして声を出して泣いた。
その泣き声と同時に、液状の糞尿と、固形の飴玉がバケツの底を激しく叩く音がトレーニングルームに反響した。
「悠太……あなた……本当に」
「ボクは悠太じゃないんだ……ゆるして……」
糞尿の悪臭に満たされた部屋を、奇妙な沈黙が支配した。
言いたいこと、聞きたいことは山のようにあった。だが、今は興梠みかげには、やるべき事があった。
「悠太!!部屋の角にある机の上にリモコンがあるの。それを取ってきて!!」
「リモコン?でもボクも縛られて……」
「机を叩いてでも揺すってでもいいから落としてこっちに持ってきてよ。そうすれば天井フックが外せるの」
「……わかった。やってみる」
両手両足を縛られ、肛門からは下痢便が垂れている無残な姿のノノだったが、芋虫のように身体をくねらせ、部屋の角へ向かう。
「あいつに教えたのは嘘なのよ…だから早く!!」
みかげが、火野に教えた銀行口座の暗証番号は、実は真っ赤な嘘の数字だった。
それに気付いた火野が帰ってくるまで、おそらく5分程度しかない。これが最後のチャンスだった。
「パチパチパチ……素晴らしい作戦じゃないか。さすがメダリストの興梠さん」
拍手をする男が部屋に入ってくる。ドアから出て行ったと思っていた火野の姿がそこにあった。
「う、うそ……まさか」
絶句する興梠を見て、火野はニヤニヤと笑っている。
「全部聞いたぜ。ちょっとお仕置きがいるみたいだな」
火野がゆっくりと浣腸器を手にするのをみて、最後の希望はもろくも崩れたことをノノとみかげは悟ったのだった。
「悠太は関係ないって言ってるでしょ」
「フフフ、連帯責任ってやつだよ。お前にも仕置は用意してあるから待ってろ」
奇妙な真っ赤なチューブが接続された浣腸器を持った火野は、床の上で座禅転がしの状態にあるノノの菊の蕾に近づいた。
「全部ひり出したみたいだな、酢・グリ浣腸液は……今度はエア・浣腸だぜ」
笑いながら赤いチューブの先端をノノのアヌスへと挿入した火野は、手に握ったポンプを動かし始めた。
「あっ!!ひぃっ!!な、なに?」
火野の手が握られるたびに、規則的に空気が送り込まれる音が聞こえてくる。
ノノはこの三日間で、何度も浣腸の責め苦を受けてきたが、液体以外のものを入れられるのは初めてだった。
「うぅぅ…く、苦しい……も、もう入りません…やめ……ひぃっ!!」
興梠みかげの前では、ノノとしては見苦しい姿を見せたくはなかったが、その苦悶は想像を超えていた。
いまやノノの腹部は、まるで妊婦のように膨れ上がり、下腹部に彫られた<中古・肉便器>の文字が
より一層目立つようになっている。
「や、やめて…本当の番号を言うから……5069!5069よ。もうそれ以上悠太に入れないで」
みかげは自分の嘘が招いた拷問を目の当たりにして、ひどく狼狽していた。
悠太は決して自分前で弱気になることはなかった。その悠太――いやノノが苦痛に震え、涙を流しているのだ。
「まてよ。お前もすぐに責めてやるって。今は少し黙っててもらうか」
興梠の番号を聞いても、火野は拷問を止める気はなさそうだった。
いや、むしろ目をぎらつかせて情欲を昂ぶらせているように見える。
「い、いやぁっ…口を塞が……ぐぅぅぅっ」
あっという間に猿轡で口を塞がれた興梠は、その後に火野が取った行動が信じられなかった。
空気浣腸で苦しむノノをそのまま放置し、火野は透明なプラスチックの容器のような物を鞄から取り出した。
そして、その容器の中に先程ノノが排泄した液状の糞便を移し入れた。
「ノノ、お前のクソは相変わらず臭いな。ちょっとスパイスを足してみるか」
ノノに注入されていた酢・グリセリンの溶液と、ノノが排泄した下痢便が満たされたプラスチックの容器に
火野は赤い液体を注ぎきんだ。
「業務用の奴だ。350ccはあるからな」
その赤い液体が入っていたビンのラベルを見た興梠は、目を見開いた。
<TABASCO>と書かれた文字と中身が一致しているなら、この男は何のために香辛料を大量に糞便に注ぎ込んだのか…
2リットルは入りそうなその容器は、黄土色の糞便と、赤いタバスコが混交した液体に満たされている。
そして、その容器には黒いチューブのような物が繋がっている。
「お前ら見たことあるか?イルリガードル浣腸器を……しかもこいつは特製でな…ポンプノズルも付いてるんだ」
みかげには聞いたことのない単語だったが、<浣腸器>というからには、二人のどちらかに容器の中の液体――
すなわち、酢・グリセリンと液便、そしてタバスコが混ざった、あの酷く濁った液体を注入するつもりなのだろう。
「ぐぅっ!!むぅぅっ!!」
必死に猿轡の内側で叫び、抗議をする興梠をちらりと見た火野は、説明を続けた。
「つまり、この赤いチューブを容器の上につないで、黒いチューブをお前のケツにぶち込むと…」
空気浣腸をされ、苦しんでいるノノの肛門から伸びた赤いチューブを容器の上部に接続し、
容器の下部に接続している黒いチューブの先端を、ロープで拘束された興梠のアヌスへと挿入する火野。
この結果、床に転がされて空気を満たされたノノの腹腔と、ロープで片足吊りにされたみかげの腸内が
<毒液>がみたされたイルリガードル容器を挟んでつながったことになる。
「むぅぅっ!!」
「や、やめて…興梠さんには酷いことしないで…」
二人の少女の悲鳴と哀願を聞き流した火野は、ゆっくりと最後の仕上げに入った。
「そして、このクリップを外すとどうなるか……」
赤いチューブで空気の流入を止めていたクリップを外した瞬間、猛烈な空気・液体の流れが発生した。
「い、いやぁっ。止めて……お腹が!!だめぇっ!!」
ノノの絶叫と共に、空気で満たされていた直腸から吹き出したガスが、容器の液体を興梠の直腸に勢い良く注ぎこんでいく。
「うぐっ!!むっ!!ううぅぅっ!!」
目の前にある透明なプラスチック容器の中の不気味な液体が、次々に自分の腹部へと注ぎこまれる様子が
否が応でも眼に入るみかげは、直腸を襲う激痛と、気味の悪さに絶叫した。
「どうだ、二人仲良く浣腸ごっこは?ごっこっていうか、浣腸合戦――いや浣腸綱引きか?ハハハ」
「ひっ…火野さん。外して…お尻のを外して!!止められないんですっ」
必死に腹部に力を込め、ガスの流出を止めようとするノノだったが、空気浣腸で充填されたガスを押し留めることは不可能だった。
ギュルギュルと奇妙な音を立てて流れだすガスの圧力によって、容器の半分ほど――1リットルの溶液が
興梠の腹腔内へと流れ込んだことになる。
「まだ、半分も残ってるじゃねぇか…ちょっとガス圧がたりんな」
赤いチューブにつながれたハンドポンプを握った火野は、空気をノノの腹腔内へと注入していく。
なんとかガスを送るまいとして堪えているノノに、再び送り込まれた空気はチューブで接続され、一心同体になったノノと
みかげの両者に圧力を加える結果になる。
「ぎぃっ!!やめて!!これ以上入れたら……ひぃっ」
ノノの懇願をBGMにして、リズムよく手を握る火野。
強制的に抜かれた空気浣腸が、再び充填される恐怖に震えるノノ。
人生初めての浣腸の恐怖と、酢・タバスコ・グリセリンの刺激で悶絶する興梠。
二人の少女の絶叫と、一人の中年男の笑い声がトレーニングルームを満たしていった。
「また、作戦会議とかされたら困るからな。ノノお前の口も塞がせてもらうぞ」
ノノの口内にも猿轡を咥えさせた火野は、浣腸液・下痢便の押し合いへし合いをしている二人の少女に続けて語った。
「俺はATMに行った後、ちょっくら一杯ひっかけてくるから…その間は3日ぶりの再会を満喫してくれや。じゃあな」
「ふぅぅっ!!」
「ぐっむむむ…」
声にならない呻きを出す二人の少女を置いて、火野は煙草を吹かしながら部屋を後にした。
部屋の時計の針は午前3時前……いったい火野はいつ帰ってくるのか。
本当の暗証番号を知った火野が、どのような行動に出るかは、興梠もノノもよく判らない。
だが、男の言葉が正しければ、おそらく酒をのんでくるのだろう。となれば、すぐには帰ってきそうにない。
必死に腸内のガスを出さないように我慢するノノと、腸内で暴れ狂う浣腸液の排泄刺激から排泄を我慢するみかげ。
そんな二人の我慢比べが終わるのは、夜が明けてからのことであった。
「ふぅ……飲んだ飲んだ。おいお前ら、お土産も買ってきたぞ」
火野がトレーニングルームに戻ってきたのは、夜空が白み始めたころだった。
数時間の放置を経た少女二人は、ドアが開く音にも殆ど反応しなかった。
ロープで片足吊りで拘束された興梠みかげは、白目を剥いて失神していた。
そして、一方の座禅転がしで床でうごめくノノは涎と涙にまみれた姿で、辛うじて意識を保っている。
「お、さすがノノ。耐えてるな……ていうか、お前のオナラのすげぇな」
火野の笑い声が物語るように、二人の少女を繋ぐチューブは逆流防止弁いっぱいいっぱい――つまり
ほぼ全ての溶液が興梠みかげの腸内に注入されていることを示していた。
おそらく興梠みかげが、苦悶の末に気絶した結果、ノノのガス圧が勝ったということなのだろう。
「ほら、起きろ。銀盤の妖精さん。フィギュアの女王さま」
火野は口に加えていた煙草の火を、興梠のへそに突っ込んで灰皿代わりにした。
「ぎっ!!ぎぃぃっ!!」
熱さで意識を取り戻したみかげが、腹筋に力を込めると、その勢いで<毒液>が流出しノノの腹部へ空気を送り込んだ。
「ぐぅっ!!」
今度は空気を送り込まれたノノが、絶叫する。
「仲の良いこった……まぁ、暗証番号は正しかったから仕置も終わりにしてやるか」
火野は二人の肛門で脱落防止の役割をしているバルーンの空気を同時に抜き取った。
その結果、ノノの肛門からは猛烈な放屁音が炸裂し、興梠みかげのそれからは、大量の液状便が噴出した。
「お前ら、一応<女子高生>なんだからよ、もうちっと恥じらいをもって出せよな。ハハハ!!」
二人の少女の脱糞・放屁ショーを見て、爆笑する火野だった。
ようやく苛烈な浣腸調教から解放された少女二人は、今はそれぞれが自分の寝室へと移動させられていた。
ノノは自室のベッドに縛り付けられ、興梠みかげも陵辱の舞台となった自分の寝室のベッドに拘束させられた。
まず、ノノの寝室に現れた火野は、ひとつの提案を持ちかけてきた。
「ノノ、お前の携帯のアドレス帳にあった、この娘――尻屋小町か。コイツをココに電話で呼んでくれないか?」
火野の言葉の意味が、最初はノノには理解できなかった。
だが、男の目に欲望の炎がたぎっているのを見て、ノノは首を横に振って拒んだ。
尻屋小町は、野々宮のスキー部の先輩である通称<皇帝>――尻屋潔の実妹であり、一時は野々宮<悠太>に対して
交際を迫ってきたこともある美少女だった。
小町は兄に似て、少し突飛な性格ではあるが、その容貌は火野ごのみの美少女だった。
その小町とは、その後の付き合いはないのだが、ノノの携帯に電話番号とメールアドレスが記されているはずだ。
「もう、これ以上だれかを巻き込むのはやめて……私がなんでもしますから……」
「そうか……じゃあ少し考えるんだな。ちょっと頭を冷やして、マンコを温めとけ」
火野は冷たい視線で見下ろすと、ベッドに拘束されたノノの膣内、そしてクリトリスにクリームのような物を塗りたくった。
「ひっ…そ、それは」
「この前も塗ったんだから、知ってるだろ?痒い痒いクリーム。まぁじっくり考えろ」
「い、いや…このクリームは…気が変になっちゃう」
「気が変わったら、壁をノックしろ。壁に手が届くように縛ってあるからな」
「そんな事…できません。電話はしません……」
「早いとこ決断するんだな。俺は隣でアイツとハメハメしてっからよ。長引けばどうなるか保証しねぇぜ」
火野は、ノノ自らの手によって小町を呼び出すことに固執しているようだった。
だが、この男の毒牙にかかれば、小町がどのような目にあうかは日の目を見るより明らかだった。
陰部を襲う掻痒クリームの痒さに、ノノは屈するつもりはなかった。
「耐えてみせるから……」
その頑張りが、別の結果をもたらすことを、この時はまだノノは知る由もなかった。
火野がノノの寝室を出ていってから、30分後のことだった。
隣室の興梠みかげの部屋から、少女の絶叫が聞こえてきた。
『やめてぇっ!!なんでもするから、着替えますから……そ、その衣装に着替えるから!!』
火野の声は壁に挟まれて聞こえてこないが、興梠みかげの大きな悲鳴は壁を通して聞こえてくる。
「興梠さん!!何をされてるの?」
ノノは、掻痒クリームの痒さに耐えながら、興梠に対して大声で問いかける。
だが、隣室からの返事はなかった。おそらく、興梠みかげは何らかの脅迫を受けてノノに話しかけることを
禁じられているのだろう。火野の考えそうなことだった。
興梠の寝室からは、少女の悲鳴とも絶叫ともいえる声が次々と聞こえてくる。
『は、ハメて!!…お尻にハメてください!!撮影してもいいです。いいですから、どうかソレだけは許して』
『い、痛い!!お、お尻の穴が痛いです……もう、これ以上の感想は言えません……ひぃっ!!』
『あ、あの…カメラの前の皆さん。わ、わたくし興梠みかげは、今お尻でエッチしてます…き、キモチいいです…』
『約束は守りました。精一杯お尻エッチしましたから…え?そんな…そんなこと……』
『目立つ所だけは許して……せめて衣装で隠せる場所にして下さい……どうか、せめて……』
『ぎっ!!い、いやぁっ!!も、もっと小さくして…見えないようにしてぇっ!!」
『今度は、今度は火野コーチさまのおチンチンを満足させますから……』
ベッドに拘束され、掻痒クリームを塗りたくられたノノには、隣室で行われている陵辱劇を止めることはできない。
興梠みかげの声しか聞こえてこないため、ノノには何が行われているのかは判らなかったが、その言語から推測すると
おそらく火野にカメラでの撮影を強要され、みかげは激しく排泄口を責められているように思えた。
『う、うそ……そこはダメです……フィギュアの大会に…人前に出れなくなりま……ぐっ!!ぐぅぅぅっ!!」
だが、その声は徐々に悲痛なものになり、やがて何かで口を塞がれてしまったようだ。
その声を境にして、もう隣の部屋からの悲鳴は聞こえてこなくなった。
何度かノノは呼びかけてみたが、興梠も火野も返答はしなかった。
一体、隣室で火野は興梠みかげに何を行っているのか?
ノノは気が気ではなかったが、今ここでノックをしてしまえば、今度は無垢の少女である小町が巻き込まれてしまう。
陰部のかゆみと、興梠みかげの心配で身体と精神を蝕まれつつも、ノノは耐えた。そして最後まで耐え切った。
ノノがクリームを塗られてから、どれだけの時が過ぎただろうか。ノノはもはや催淫クリームの虜になりかけていた。
シーツはに淫液によってできた巨大な染みが描かれ、反射的に動かす腰の動きでギシギシとベッドが軋む。
ノノはそれでも耐えていた。尻屋小町を巻き込むまいとして……
そんなノノの前に、再び火野が姿を現したとき、ノノは自分の忍耐が火野の企みに勝ったのだろうと思った。
だが、現実はノノの予想とは違う方向へと動いていた。
手にノートパソコンの様なものを持った火野の邪悪な笑みを見て、ノノは悪い予感に駆られた。
「フフフ、調教の成果か何かしらんが、お前の頑張りには敬服するぜ」
「で、電話はしません……絶対に」
涎と涙にまみれ、腰を小さく揺り動かしながらも、そう言い切るノノを見て火野は感心している様子だった。
「いやさぁ、お前が随分と長いこと抵抗するもんだからさ、逆に興梠が大変なことになっちまったぜ?」
意味ありげな笑みを浮かべて、火野は興梠みかげの持ち物であるノートパソコンの画面をノノに見せつける。
火野が見せたノートパソコンの画面を見て、ノノは自分の抵抗が別の結果をもたらしたことを悟った。
ノートの画面では、動画プレーヤーが何かの映像を再生していた。
バックスタイルで結合した男女の性器が画面いっぱいに写っている
『い、いや…約束してください。もうこれ以上は……』
『あぁ、お前が尻穴で俺を満足させられたら約束どおりにしてやるよ。喋ってないでケツ穴締めろ』
再生されている男女の声は、火野と興梠のものだった。
フィギュア・スケートの衣装のようなものを着用しているが、男の手によって股布がずらされ左の尻たぶが丸見えになっている。
問題は、その白い尻たぶに、奇妙な紋様が刻まれていることだった。
『ほら、みろよ興梠。いい具合に安産マークを刻んでやったぜ』
『もう許して…許して……』
クッキリと見えるその<安産マーク>すなわち女性器を模した淫らな印は、火野が最も好む行為――刺青だった。
「う、うそ……興梠さんのお尻に……お尻に刺青を」
「フフフ、尻だけじゃねぇぜ。ノノ、お前が早く電話するって言えば、これで終わったんだがな……」
火野はノートを操作して、動画再生ソフトのウインドウを小さくする。
すると、再生ソフトの背後に開いてあった、Webブラウザが画面に表示された。
ブラウザは、どこかの掲示板にアクセスした画面のようだった。
問題はその掲示板の書き込み内容だった。
<流出させてみるスレ>と赤い文字でタイトルが書かれた掲示板には、火野のものと思われ文章があった。
===============================
興梠みかげに中出ししたwww
紋々も彫ってみたwwwwww
http://www.yotube.com/….
===============================
そこには、興梠の本名とともに、動画投稿サイトへのリンクが貼られている。
そのリンクの下には、動画の一部の場面が表示されていた。
「ほい、再生っと……」
ノートを操作した火野は、笑いを堪えているようだ。
『ぐむむっ!うぅぅっ!!』
『へへへ、興梠ちゃん。いや違うな<便女コウロギ>ちゃん。イイ感じに彫れたぜ』
口を塞がれた興梠みかげの涙に濡れた顔と、それを背後から犯す火野の身体が画面に写っている。
ゆっくりとカメラが下に向けて画角をパンすると、みかげと火野の結合部が大写しになった。
先程の動画と同様に、フィギュア・スケートの衣装の股布をずらして犯される興梠の姿と、コンドーム無しの
火野の剛直の結合部が画面にアップで写っている。
問題は、そのみかげの太股の部分だった。
右の太股には<便女>、そして左には<コウロギ>と手書きの文字が描かれているのだ。
動画サイトに投稿されたそれは、再生回数が数千にも達していた。
「ま、まさか…あんな所にも刺青を?」
ノノの絶句も無理はなかった。
決してフィギュアの衣装では隠せない部分――太股に大きく、そして濃く彫られた文字が見えるのだ。
隣室から聞こえていた興梠みかげの哀願……
<目立つ所だけは許して……せめて衣装で隠せる場所にして下さい>という声の意味をノノは初めて理解した。
「ノノ、お前がすぐに電話すると言えば、こうはならなかったんだがな……ま、もう済んだことだ」
火野はあっけらかんと言い放った。そこには少女への同情や哀れみなど皆無だった。
「こ、こんなことしたら、すぐに捕まってしまう……あなたも終わり……」
「フフフ、そんなことは、お前が心配することじゃない。色々考えはあるさ」
「で、でも!!」
「あ、そうそう、お前のハメ撮り動画も一式……というか全部、この家から今も流してるからな」
「そ、それって……」
「2年前の処女喪失も、紋々彫りも、この前のラブホのやつも全部だ。P2Pだっけか?便利な世の中だな」
火野は、まるでいい忘れてたと言わんばかりに、軽く付け足して言う。
ノノが今まで耐え忍び、興梠みかげも巻き込んでしまった陵辱劇が、すべて晒されているという事を
まるで世間話のように話している火野を見て、ノノはこの男の本性を完全に悟った。
「もう、おわり……わたしも、興梠さんも、ぜんぶおわり……」
陰部を襲う痒さも忘れ、つぶやくノノに対して、火野は追い打ちを掛けるように言う。
「なにを言ってるんだ?まだまだ、俺たちこれからだぜ……そういえば、そろそろのはずだが」
腕時計を見た火野の独り言と、家に鳴り響くチャイムの音は、ほぼ同時だった。
「お、来た来た。我らが小町ちゃんのご訪問ですよ」
「え、うそ……」
「いやな、お前があんまり頑固なもんだからさ、興梠に電話してもらったぜ」
「そんな、わたしに電話させるって……」
「興梠に電話させないとは言ってないよな?」
「ま、まさか。興梠さんが?」
「刺青を太股に彫られてもいいのかって、ちらつかせたら、涙ながしてよろこんで掛けてたぜ。ハハハ」
ノノが痒みに耐え、壁をノックせずに、興梠が陵辱されているのを見過ごしたその行為はすべて無駄だった…
そして、興梠みかげも、火野の口車に乗せられて、小町に電話してしまったのだ。
決してこの男の口約束が守られることがないことを知らずに。
小町へ最後の警告を絶叫しようとしたその時、ノノの口もとを猿轡が覆い隠した。
「ぐっ!!うぐっ!!」
ノノのくぐもった声にかぶせるように、家のチャイムが再び鳴った。
「おっと…しばらく静かにしてくれよ。ケツ穴にもクリーム追加サービスしとくからさ」
火野はクリームをノノのアヌスの中へと塗り込めながら、耳元でささやく。
「小町ちゃんと俺の<秘密の室内デート>を邪魔しないでくれよな…さて、今度の娘はどう責めようか…」
黒光りするスタンガンを手にした火野が、そのまま寝室から姿を消し、階下からは少女の悲鳴が聞こえてくる。
(わたしが、2年前にわたしが警察にすべてを話していれば……)
涙を流し、後悔に暮れるノノの心を写すかのように、窓の外には白い粉雪が舞っていた。
(完)